Dr. Mutsuko Takahashi BLOG

ニューヨーク在住、英文学博士・個人投資家の高橋睦子【Mutsuko Takahashi】です。ブログへのご訪問ありがとうございます。

mutsuko takahashi

英米文学研究

18世紀のセクシュアリティ研究:『ファニー・ヒル 一娼婦の手記』

Mutsuko Takahashi 著 ジョン・クレランドの『ファニー・ヒル 一娼婦の手記』を窃視のテーマをもとに、ラカン的眼差しの精神分析的視点をポストコロニアル的視点に拡張することで二項対立の脱構築を試みる。 はじめに 娼婦の運命の比較 公的と私的の二項対立…

18世紀のセクシュアリティ研究:同性愛 Part2 (2/2)

Mutsuko Takahashi 著 ランドルフ・トランバッハ (Randolph Trumbach) の論文、"The Transformation of Sodomy from the Renaissance to the Modern World and Its General Sexual Consequences"に基づいて、18世紀のセクシュアリティを同性愛の観点から考察…

18世紀のセクシュアリティ研究:同性愛 Part1 (1/2)

Mutsuko Takahashi 著 ランドルフ・トランバッハ (Randolph Trumbach) の論文、"The Transformation of Sodomy from the Renaissance to the Modern World and Its General Sexual Consequences"に基づいて、18世紀のセクシュアリティを同性愛の観点から考察…

フロイト:喪の作業

Mutsuko Takahashi 著 ハムレットの復讐の遅延に関する記事で、フロイトの「喪の作業」について触れました。 エディプスコンプレックスの文学的応用:『ハムレット』 - Mutsuko Takahashi BLOG また、ヘミングウェイの『武器よさらば』についての記事でも、…

ヘミングウェイの文献:理論的アプローチ

Mutsuko Takahashi 著 この記事では、ヘミングウェイの文献で、理論的アプローチをしている本を紹介します。また、これらの本を選んだ理由も述べます。 Gloria Holland and Lawrence R. Broer, Hemingway and Women 2002. Michael S. Reynolds, The Sun Also…

フィッツジェラルドの文献:論文集

Mutsuko Takahashi 著 この記事では、フィッツジェラルド研究の論文集を紹介します。また、これらの本を選んだ理由も述べます。 Bryant Mangum F. Scott Fitzgerald in Context, 2013. Alan Margolies, Ruth Prigozy, Jackson R. Bryer, F. Scott Fitzgerald…

フィッツジェラルドの文献:作品論

Mutsuko Takahashi 著 この記事では、フィッツジェラルドの文献から、作品論について書かれている本を紹介します。また、これらの本を選んだ理由も述べます。 Christian K. Messenger. Tender Is the Night and F. Scott Fitzgerald’s Sentimental Identitie…

ヘミングウェイとフィッツジェラルドの文献:作品論

Mutsuko Takahashi 著 この記事では、ヘミングウェイとフィッツジェラルドの文献から、作品論について書かれている本を紹介します。また、これらの本を選んだ理由も述べます。 Ronald Berman, Translating Modernism : Fitzgerald and Hemingway, 2009 Ronal…

ヘミングウェイとフィッツジェラルドの文献:伝記的背景

Mutsuko Takahashi 著 この記事では、ヘミングウェイとフィッツジェラルドを比較する際に役立つ文献の中から、伝記的な背景について書かれている研究書と、ヘミングウェイ自身が執筆した自伝的な本を紹介します。また、選んだ理由も述べます。 Scott Donalds…

アイデンティティの再統合:フィッツジェラルド

Mutsuko Takahashi 著 この記事ではアイデンティティの再統合という観点において、フィッツジェラルドの『夜はやさし』(1934)、『ラストタイクーン』(1941) を挙げます。 『夜はやさし』 『ラストタイクーン』 『夜はやさし』 『夜はやさしのディック』…

アイデンティティの再統合:ヘミングウェイ

Mutsuko Takahashi 著 アイデンティティの再統合という観点から、ヘミングウェイの短編『キリマンジャロの雪』(1936)、『老人と海』(1952) を挙げます。 『キリマンジャロの雪』と『老人と海』 『キリマンジャロの雪』と『老人と海』 『キリマンジャロの…

アイデンティティの喪失:フィッツジェラルド

Mutsuko Takahashi 著 この記事では、アイデンティティの喪失という観点において、フィッツジェラルドの『トリマルキオ』(2000)、『ジャズ・エイジの物語』(1922)、『若者はみな悲しい』(1926) を挙げます。 『トリマルキオ』 『ジャズ・エイジの物語』 『若…

アイデンティティの喪失:ヘミングウェイ

Mutsuko Takahashi 著 アイデンティティの喪失という観点から、ヘミングウェイの『武器よさらば』(1929)、『エデンの園』(1986)、『誰がために鐘は鳴る』(1940)を挙げます。 『武器よさらば』 『エデンの園』 『誰がために鐘は鳴る』 『武器よさらば』 この…

価値の交換:『日はまた昇る』と『グレートギャツビー』

Mutsuko Takahashi 著 価値の交換という文脈で読むことが出来る作品として、ヘミングウェイの『日はまた昇る』(1926)と『グレートギャツビー』(1925) が挙げられます。 ヘミングウェイの主人公ジェイク フィッツジェラルドの主人公ギャツビー ヘミングウェ…

ヘミングウェイとフィッツジェラルド:失われた時代の作家たち

Mutsuko Takahashi 著 ヘミングウェイ (1899–1961) とフィッツジェラルド (1896–1940) は、よく比較研究の対象となります。というのも、彼らは同時代の作家であるだけでなく、二人の交友関係もまた興味深いものだからです。それでは、作品はどう比較できるで…

論文のトピックから問題提起へ

論文のトピックは、明確に問題を提起し議論に発展していかなくてはなりません。 何がトピックを作るのか!? 興味関心事をリストアップする リストアップした内容を狭める トピックの焦点を狭める際のポイント トピックの焦点が狭まったら 質問内容に磨きを…

論文のトピックを決める

Mutsuko Takahashi 著 博士論文のトピックの選択は、その後の研究者としての将来を決めるのでとても重要です。では、どのようなことに注意してトピックを決めていけばよいでしょうか!? 論文トピックの及ぼす影響 トピックと論文の構想 トピックをどう決め…

論文指導教授との関係

Mutsuko Takahashi 著 論文執筆を進行する上で、指導教授と良好な関係を築くことは重要です。 指導教授のアドバイス 同意できないことを受け入れたらどうなるか!? コミュニケーションスキル 執筆が進んでいなくても教授と会う 指導教授のアドバイス 論文執…

論文の読者の存在

Mutsuko Takahashi 著 論文執筆に行き詰る原因は何でしょう!?最もよく言われるのは精神的理由だと言われています。 読者の存在 想定上の読者 オーナーシップを再認識する それでも読者の存在も大事 文学作品の場合は話は別 読者の存在 論文執筆が行き詰ま…

博士論文執筆計画書を作成する

執筆計画書を作成します。その際にいくつか注意点があるので、それも含めて手順を書きたいと思います。 執筆計画書 (Prospectus) の意義を考える プロスペクタスを書く際の問題点 解決方法を考える プロスペクタスの原稿を書く フィードバックを求める 何度…

博士課程について

このカテゴリーでは、アメリカの博士課程について書いていきます。また、論文執筆に関して意識することや注意すべきことについても書きたいと思います。 コースワークが修了して、口述試験に合格すると、いよいよ博士論文の執筆となります。博士論文は今まで…

ハムレットの To Be, or Not To Be の解釈

Mutsuko Takahashi 著 以前、ハムレットのセリフ、"To be, or not to be..."について触れたことがありました。こちらです↓ エディプスコンプレックスの文学的応用:『ハムレット』 - Mutsuko Takahashi BLOG ここでは、なるべくわかりやすく、もう少し詳しく…

エディプスコンプレックスの文学的応用:『ハムレット』

Mutsuko Takahashi 著 エディプスコンプレックスを『オイディプス王』に応用した記事はこちらです↓ エディプスコンプレックスの文学的応用:『オイディプス王』 - Mutsuko Takahashi BLOG この記事では、『ハムレット』への応用について書いていきます。 『…

エディプスコンプレックスの文学的応用:『オイディプス王』

Mutsuko Takahashi 著 フロイトのエディプスコンプレックスについて、すでに別記事「フロイトの心理性的発達理論とエディプスコンプレックス」でお話しました。この記事では、エディプスコンプレックスの概念を実際にどうやって文学作品に応用するのかを解説…

フロイト:夢の作業

Mutsuko Takahashi 著 「夢」とは、無意識が意識的領域に侵入したために起こる現象であるということは、こちらの記事でお話しました。↓ フロイトの意識と無意識 - Mutsuko Takahashi BLOG 夢の理論についてはこちらです。↓ フロイトの夢理論 - Mutsuko Takah…

フロイトの夢理論

Mutsuko Takahashi 著 「夢」とは、無意識が意識的領域に侵入したために起こる現象であるということは、こちらの記事でお話しました。↓ フロイトの意識と無意識 - Mutsuko Takahashi BLOG 夢の作業については、こちらでお話しています。↓ フロイト:夢の作業…

フロイトの意識と無意識

Mutsuko Takahashi 著 この記事はフロイト理論についてです。精神分析学理論を文学研究に応用する際に必要な基礎知識の説明です。実際の応用の例は別の記事で書きたいと思います。 この記事では、エディプスコンプレックスを克服した後の幼児の精神的発達段…

フロイトの心理性的発達理論とエディプスコンプレックス

Mutsuko Takahashi 著 私は文学の精神分析を専門としているので、この記事ではジグムント・フロイトの心理性的発達理論とエディプスコンプレックスの概念について説明したいと思います。 ほぼ例外なく、英語圏の人々はフロイトの名前を無声音のシグムントと…

ベラスケスとピカソの絵画の考察

Mutsuko Takahashi 著 アメリカの大学院では、絵画の考察も文学研究に含まれています。 まずはじめに、こちらのラス・メニーナスと題する絵画をご覧ください。最初のはベラスケスの描いたもので、次のはピカソによるものです。 ラス・メニーナス (1656) 作者…

文学とは何か!?他分野との決定的な違い

Mutsuko Takahashi 著 文学について語り出せばとても長くなってしまうので、「文学とは何か!?」という問題を私の文学との出会いと目覚めに照らし合わせて別記事で述べています。 こちらです。↓ 文学とは何か!?文学との出会い - Mutsuko Takahashi BLOG …

20200822015235