Dr. Mutsuko Takahashi BLOG

ニューヨーク在住、英文学博士・個人投資家の高橋睦子【Mutsuko Takahashi】です。ブログへのご訪問ありがとうございます。

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博士論文執筆計画書を作成する

執筆計画書を作成します。その際にいくつか注意点があるので、それも含めて手順を書きたいと思います。

執筆計画書 (Prospectus) の意義を考える

執筆計画書はProspectus (プロスペクタス) というもので、論文を要約したもの (要旨や梗概) とは異なるので注意が必要です。プロスペクタスで書くのは、論文で追求することの展望です。プロスペクタスは論文へとステップアップするためのツールですが、それ以上により良い意義を発揮できるプロスペクタスにするにはどうすればいいのか!?プロスペクタスのそれ以外の用途を考えてみましょう。

 

プロスペクタスを書く際の問題点

プロスペクタスを書く際に直面するかもしれない問題として、意外と書くのが難しいということです。なぜかというと、まだ論文をまったく書いてないまっさらな段階で、プロスペクタスをどうやって書けというのか!?という問題に遭遇するからです。大体の構想が頭の中で練られていれば、この問題は回避できるかもしれません。しかし博士論文は一冊の本と同じで何百ページにも及ぶ長さなので、そんな巨大なプロジェクトを短く構造化するのは難しいです。

  

解決方法を考える

個人的な話になりますが、私の執筆の傾向としては、まず何でも良いから書き始める。それで書けたものに修正を加えるという方法で今までやってきていました。20ページ程度の短い論文の時にはそれで良かったんです。何でもよいからとりあえず書いてみてからプロスペクタスを書くという、逆の順番でやっても、そんなに時間がかかるわけではないので。それでは、博士論文のように巨大プロジェクトの場合はどうしたらよいのか!?

 

今までのように、とりあえず何でも良いから書いてみるやり方だと巨大プロジェクトの場合は時間がかかりすぎるので、各章ごとで思い浮かぶ限りのアイディアをメモする。文章として書くのではなくて、メモであることがポイントです。それこそランダムに書き出していきます。これをやり始めると、文章で書くよりむしろたくさんのアイディアが出てくることに気付くと思います。メモだと短いので、忘れないうちにどんどん記録できるからです。そして、そのメモを頼りに計画の展望を練ります。

 

プロスペクタスの原稿を書く

既に承認されたプロスペクタスの見本がどんな構成になっているのか参考にします。見本に関しては、教授にとっても、まったく突拍子のない原稿を見せられて指導する手間が省けるため、見本をあらかじめ準備してくれるはずですが、そうでない場合は待っていないで積極的に教授にお願いして過去の見本を提供してもらいましょう。

 

プロスペクタスの原稿の骨組みがある程度できたら、各章にタイトルを付けます。その際に、何行かその章についての説明を加えます。研究の目的、先行研究、それに対する議論へと拡張します。プロスペクタスを書いていると、準備にそんなに時間をかけていないで早く論文に進みたいと思ってしまいがちです。しかし、長期間に渡る巨大プロジェクトを効率よく進めるためには、プロスペクタスにある程度時間をかけることが大事なのです。

 

フィードバックを求める

博士論文ワークショップのPeerグループのメンバーに見てもらうか、教授に原稿を見せてフィードバックをもらいます。章のタイトル、目次が理にかなっているかどうかを話し合います。遠慮なく、どんどん見てもらいましょう。

 

何度でも訂正する

 ここが、論文のプロスペクタスの特徴ともいえるのですが、これはあくまでもProposalであって、契約書ではないので、何度でも書き換え可能なのです!新しいアイディアが出てきて方向性が変わったら、何度でも書き換えましょう。

 

タイトルを考えてみる

 論文の暫定的なタイトルを考えてみましょう。可能性のあるタイトルを3つくらい考えてみます。楽しみながら考える。

 

 

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