Dr. Mutsuko Takahashi BLOG

ニューヨーク在住、英文学博士・個人投資家の高橋睦子【Mutsuko Takahashi】です。ブログへのご訪問ありがとうございます。

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洋画で見る文化と言語

この記事では、洋画で文化的な側面を学ぶことが、言語学習につながるということを話したいと思います。直接的な英語学習カテゴリーではなく、英語学習の背景的な話になります。洋画の具体的な英語学習の方法に関しては、こちらの記事で書いています↓

洋画は英語学習に最適か!? -  Mutsuko Takahashi BLOG 

 

 

日本のドラマから洋画へ

便利なもので海外に住んでいても日本のドラマを見ることができます。しかし私はいつの間にか日本のドラマに違和感を感じるようになってきていることに気付きました。私は日本語のネイティブスピーカーなので言葉は理解できるし、新語はグーグルで調べればわかるのです。ところが、考え方や心情が理解できなくなってきてしまったんですね。

 

もちろん「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、日本文化の恩恵を受けて「わび・さび」の心は染みついています。しかし、後から社会によって押し付けられた概念(ある意味洗脳)みたいなものは、海外に出て時がたつにつれて薄れていき、違和感を感じるようになったのです。

 

まあ、時の経過とともに洗脳が解けていくということは、「洗脳」というほどのことでもなく、「洗髪」程度のことだったのかな。何回か洗髪して軽くすすぐだけでとれる程度の。

 

洗脳は日本に限ったことではなく、どこの国にもあって、アメリカでも多くの人は洗脳されているように思います。社会における洗脳の存在に気付いていて、意識的に洗脳を逃れようと努めている人も少なからずいると思います。ただ、意識している人でも完全に洗脳を逃れることは難しいと思います。

 

「洗脳」っていうと言葉が強すぎますが、社会のイデオロギー自体がすでに洗脳的な様相を帯びているのだし、一番最初の洗脳は母親から受けるといっても過言ではないかもしれない。その後、就学するようになると学校で社会的な洗脳を受けるようになる。つまり最初の社会的規範は、親の社会的規範によって押し付けられたもので、就学してからは社会の物差しによって押し付けられたものが、自分自身の社会規範となっていくわけで、自分が今身に着けている偏見や物差しはもともとは自分のものじゃなくて親とか学校によって植え付けられたものだなというふうに私は見ています。

 

どこで生まれ育とうと、人は必ずや社会・文化・政治的なイデオロギーの影響を受けて育つから、逃れられない運命なのですが、日本からアメリカっていう別世界に飛び込んで、考え方や感じ方が変わってきたのです。

 

日本人が恥ずかしいと思う事や、照れ笑いする意味や、隠したがる事などが、理解できなくなってしまったのです。例えば「隠したがる事」を例にあげると、日本のドラマで「父親が過去の家族の存在を再婚相手に隠している」っていうストーリを見た時にドン引きしました。あり得ない。自分ならそうする、そうしないとかの個人の問題を超えて、社会通念上で隠す理由を理解しようにもまったく理解できなかったのです。女性が過去の男性関係を隠そうとするっていうのは、ヴィクトリア朝とそれ以前の文学で読んだことがありますけど。また日本のドラマにありがちな自虐的な要素や女性差別・年齢差別は言語道断です。見ていて気分が悪いので速攻で消します。

 

一方で、アメリカのトーク番組でありがちなのは、かぶせヤロウの存在です。かぶせヤロウが現れたら速攻で消します。洋画やドラマの場合は、考えて作られているので、かぶせヤロウは物語進行上の意図的なものなので仕方ないです。かぶせている間は英語聞き取れませんね。聖徳太子じゃありませんから。皆さんはどうですか!?

 

このような経緯があって、私は日本のドラマを見なくなり、代わりに洋画を見るようになりました。これが逆に英語学習のために役立つこととなりました。

 

言語と文化

洋画を見ることで、その国の文化を知ることができますよね。実は、洋画を通して外国の文化体験をすることによって、言語感覚が身に付くと私は考えています。

 

私が思うに、言語と文化は密接につながっています。例えば、日本語で質問されて日本語で答える分には違和感のないことが、英語で同じことを答えるとなると、とんでもなく違和感を感じる答えになるという場合があります。

 

例えば、日本語で「きれいですね」とお褒めの言葉をいただいたときに、「いえいえ、とんでもないです」っていうのは、これといって違和感のない普通の会話だと思います。ところが、同じことを英語で答えた場合は、病的レベルのコンプレックスを持っていない限り、こういう答え方はあり得ないです。英語ならば普通にThank you「ありがとう」って喜びますね。日本語で「ありがとう」って言うと、褒めたくせに心の中で「何コイツ」ってどうせ思いますでしょ(´・∀・`)w だからといって「いえいえ、とんでもないです」は既に違和感を感じるようになってしまったので、「褒めていただいて嬉しいです!ありがとうございます」って言うようにすると、だいぶ印象が変わるので、謙遜の代わりに喜びを表現するようにコミュニケーションを心がけてみることも大事だと思います。

 

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